カナダでフランス語留学をする理由とデメリット
留学準備
2019.05.16
カナダの多くの都市では第一言語が英語、第二言語がフランス語として使用されています。留学生の方に人気のトロントやバンクーバーでも、一般的には英語が使用されていますが標識や商品の説明などは英語とフランス語2か国表示されることが法律で定められています。またいくつかの州ではフランス語が第一言語、もしくは英語とフランス語バイリンガルで使用されています。そのため、カナダはフランス語留学としても世界的に有名な国なのです。
カナダでのフランス語の位置づけ
前述の通りカナダでフランス語というのは英語の次によく話される言語です。カナダ東部にあるケベック州ではフランス語が第一言語として話されています。ケベック州では、街中の標識はすべてフランス語、都市部を離れると英語が通じることが少ないというカナダの中でも独特の州です。
またケベック州からもう少し東側にいったところにあるニュー・ブランズウィック州はカナダの中で唯一英語とフランス語どちらも公用語としているバイリンガルな州です。このため英語メインのトロントやバンクーバーなどとは違い、生活していてもフランス語と英語をどちらも体験していただける街です。
カナダでフランス語を勉強する理由
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フランス語学習者にやさしい街
カナダでフランス語を勉強する都市で人気なのがケベック州にあるモントリオールという都市です。モントリオールはカナダではトロントに次ぐ第二の都市で、第一言語をフランス語としている都市では世界の中で世界第3位という人口・経済規模を誇ります。もともとフランスからの移民が作り上げた都市ということで石畳やヨーロッパ調の建物などが立ち並ぶ、“北米のパリ”という異名もあるなど雰囲気のいい街でもあります。
もともとケベック州の人たちはカナダの中で英語話者に囲まれていること、カナダ全体としては英語の影響が大きいことから自分たちの独自の文化・言葉であるフランス語を維持することをとても大切にしています。そのため、カナダ国内や国外からフランス語を勉強しに来る人達にとても寛容で歓迎してくれるため、フランス語初心者にとっても生活しやすい環境です。
また、モントリオールなどの大きな都市などでは特に英語が通じることが殆どのため、フランス語初心者の方でも英語とフランス語両方が使えることで留学をし始めやすいという点もあります。モントリオールでは多くの人が英語とフランス語バイリンガルです。またもしフランス語の知識がある程度ある方でどっぷりフランス語に浸りたいという方の場合、ケベック市などを選ぶことでフランス語しか通じない環境で留学ができるという選択肢の広さもあります。
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生活費の安さ
カナダでの留学の魅力はアメリカやヨーロッパと比べると生活費も比較的安く、また為替の関係から日本からの留学では特に割安と感じることが多いです。ここ数年トロントやバンクーバーなどは住宅価格の高騰から生活費が値上がりしてしまう傾向にありますが、フランス語圏であるモントリオールやケベック、ニュー・ブランズウィックなどはこれらの都市と比べると住宅費もかなり抑えられ、場合によっては1/3ほどの値段で生活できるようです。
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治安の良さ
日本を離れる留学生にとってやはり料金に加えて気になるのが治安ですね。特に最近ではテロなどが頻繁に起きていてどこの国でも安全ということは言い切れないですが、留学生が住みやすい、安全な国として知られているのがカナダです。もちろん安全な日本と同等ということは言えないかもしれませんが、モントリオールでも大きな犯罪件数は多くはなく、またケベック市になると年間の殺人件数が1-2件程度ととても治安がいいことがわかります。
ただし、カナダ全体でマリファナが合法化されたということもあり、街を歩いていてマリファナのにおいがしてくるなどといったことは起こりますし、浮浪者や現地マフィアが多くいる地域もあります。安全とはいっても日本と同様・またはそれ以上に常に気を付けていただく、危険なエリアには近づかないことでご自身の身を守るということは常に気を付けていただいておいたほうがいいでしょう。
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仕事の見つけやすさ・移民のしやすさ
こちらに関しては大前提があくまでも“ある程度フランス語が喋れる”ということが必要となってきますが、もしフランス語が喋れる場合にはケベック州はカナダの中でも移民がしやすい街として知られています。ケベック州が独自に設定する移民プログラム(PNP)では、ケベック州の現地カレッジの規定以上のコースを卒業さえすればその後に永住権の申請がしやすくなっています(2019年5月現在)。カレッジ進学もフランス語さえ喋れればトロントやバンクーバー近郊のカレッジと比べて進学もしやすいため世界各地から移民を目的とした留学生が集まっています。
また語学学校通学中であっても学生ビザを使って通っている場合にはお子様の公立学校(高校まで)の学費が無料となることから、ご家族でバイリンガル・トリリンガルを目指してご留学される方もたくさんいらっしゃいます。
もう一点、ケベック州では雇用需要に対して人口が追いついておらず、留学生や移民の方が仕事を見つけやすいという点でも注目できる都市です。
カナダでフランス語を勉強するデメリット
ここまでカナダでフランス語を勉強するメリットについてお伝えしましたが、もちろんカナダでフランス語を留学する際のデメリットもいくつかございます。ここではそのデメリットと対処法についてご紹介させていただきます。ご留学開始前にこれらのことをしっかりご検討いただいてよりご自身にあった留学方法や留学場所を探してくださいね。
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ケベック訛りの言語
ケベック州で話されているフランス語はフランスから移民が大量に流れてきた後、そのフランス語が独自に進化していったことによりフランスで話されているフランス語とは違った言語となっていることです。
特にケベック州のフランス語はフランス人にも理解されにくいほどで、フランス人曰く“言い回しがとても古臭い”とのことです。モントリオールにある語学学校では講師は全てフランス人としているところも多く、標準フランス語のみとしているところも多いです。そういった学校であれば学校内では標準のフランス語を勉強していただくこととなりますが、学校の外に出て飛び交っているのはケベックのフランス語となります。
POINT
各国ごとの訛りがある程度わかってくる、違いが出てくるのは上級レベルに達する頃となり、初~中級者のうちはそこまで気にしていただく必要はないと言われています。また学校によっては“インターナショナルフレンチ”といって、フランス人だけではなくベルギーやアフリカなど世界各地のフランスネイティブの国から講師を募って様々なフランス語に触れていただけるとしているところもあります。
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フランス語と英語のバイリンガル国家
バイリンガルの国家として、カナダ国内の多くの都市では英語が通じます。フランス語留学地として人気のあるモントリオールでは、70%の人がフランス語を第一言語として話しているとはいえ、第二言語の英語を流ちょうに喋れる方がとても多くいらっしゃいます。せっかくフランス語を勉強にし来たのに英語で生活ができてしまうとフランス語の学習初心者にとっては安心といえる半面、フランス語が伸びにくいということも言えてしまいます。
ただし、モントリオールではなくケベック市をはじめケベック州の多くの町ではフランス語のみしか話せない人、英語が得意でない方がたくさん生活されています。特にフランス語漬けの留学生活を送りたい、せっかくなので短期間でしっかりフランス語を伸ばしたいという方にはモントリオールではなくケベック市に行かれるほうがいいでしょう。
逆にフランス語の知識がほぼない、まったくの初心者という方には、まずはモントリオール市でフランス語の基礎を勉強してその後ケベック市もしくはフランスへ移動されるほうがより効果的で安心の留学となるかと思います。
POINT
バイリンガルということで英語とフランス語を同時に伸ばすということも可能ではありますが、こちらはお勧めできません。フランス語と英語は全く違う言語です。片方(もしくは両方)が中~上級という方の場合は別として両方が初心者または初級者レベルの場合には一つの言語に集中して勉強したほうがいいでしょう。
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マリファナ合法化
カナダでマリファナが合法化となったこともあり、日本と比べてマリファナが簡単に手に入る環境にあります。また街を歩いていてもマリファナのにおいがしてくることが少なくありません。(場所に寄るため、特に危険なエリアといわれているところでは注意が必要です。)簡単にマリファナが手に入るからと言って試してしまうと、日本人としては日本の法律で違法となるほか、場合によっては国境を超える際に問題となってしまうこともあるかもしれません。
留学中にはご自身でしっかりと管理していただくことが必要となります。
以上、カナダでフランス語を勉強していただくことのメリットやデメリットについてお伝えさせていただきました。どこの国で何を学ぶかについてはしっかり各国のメリットやデメリットについて比較検討していただいた上で判断していただければと思います。